誠の道ーキミと共にー

「今朝死んでいたのは、三日前は至って健康体な二十日鼠でした。病持ちだという二十日鼠を先ほど河川殿に見てもらいましたが治っているとおっしゃっていました。」


「なるほど・・・ありがとう」


「いえ。ですが、加賀美さん。これは一体どういうことなんですか?」


ん?と篭を中にいる二十日鼠から目線をあげ突っ立ったままの山崎を見上げれば不安な瞳とかち合った。


それに苦笑いで浮かべながら上体を持ち上げた。



「加賀美さんから預かったあの練り香をお香で焚き染めたあと、誰一人として部屋には入れませんでした。でも、確かに病は治っていた。そして、もう片方は死んでいた。これは一体・・・」


「まぁ、一種の劇薬ですよね。」


「・・・」


眉を寄せ訝しがるがる顔に笑いかける。


「なんでも治す至高の香り。けれど使う相手を間違えると死に至らしめる香り。それをどうして私が持っているのか、不安ですか?」


「・・・」


山崎はなにもこたえない。
否定もしなければ肯定もしない。
ただ黙ったまま。
だが、沈黙は肯定ととれる。

お互いの間に沈黙が訪れる。