「すみません、ありがとうございます・・・でも、沖田さんもお体の調子がよろしくないのでは?」
「俺のはただの風邪だ。気にすることはない。」
「風邪をなめちゃダメですよ。一気に熱にうなされることだってあるんですから。」
「お前の方こそうなされていたが。」
「え・・・」
もしかして、沖田さん、ずっと看病を?
いや、でもあの日からそんなに時間はたっていないはず。
「三日三晩うなされてやっと起きた。」
「・・・すみません」
申し訳なくて素直に頭を下げる。
そんなに寝てたとは・・・
疲れがたまってたのかな。
まぁ、色々なことがあったからなぁ。
目を細めて思い出すのは三日前の出来事。
沖田さんが来てくれた。
母様との最期を思い出した。
アブリエルと闘った。
結構たくさん思うところはあったけど、最後は沖田さんが来てくれた。
そのことがこんなにも嬉しいなんて。
私、本当にこの人のことが -------
ボンッ
「どうした?加賀美。」
顔が一気に熱くなる。
赤くなった顔を見られたくなくて手で覆った。
「いえ、なんでもっ」
「なんでもないわけあるか。顔が赤い。熱でもあるんじゃ」
「何でもないんです、ほんとに!!」
気づいたら、とても簡単なこと。
自覚して始めて芽生える恋。
傷付けたくないから。
それはこんなにもたくさん想っているから。
-------この人がとてもとても、愛しい
でもこれは、恋の始まり。
まだまだ始まったばかりの恋。
これから、どんなことを神様はお与えになるのだろうね。
幸福?試練?寂寥?
恋はまだまだ始まったばかり。


