誠の道ーキミと共にー

母が倒れ行くと後ろにいた男の顔が見えた。


返り血を浴びる姿。揺るがない瞳。そこには一切の感情が見当たらない冷徹な瞳。



男は私の姿をその瞳に捉え、口を開いた。



「罪人の子よ、忘れるな。今、生かされることがその生涯でどんなに屈辱的なことかを。汝は罪人の血が流れる半端者の神。半仙よ、汝はその生涯で自身に流れる血を憎み、自身の存在を厭うであろう。」


男は口端を引き上げて笑った。



「もがけ。もがき苦しみ、そして思い出せ、何故自身が生かされているのかを。そこで、やっと我らの宿願は叶う。」



あのときの男は確かにそう言った。

私の存在は既に天界に知られていたのだ。

男の言った『宿願』とは何なのか。


それは、私の存在こそが異端でありその異端を産んだ発端である母の父、つまり天王神の堕落を望むということだろうか。



どちらにしても、あのときの男と目の前のアブリエルの姿が重なる。


･･･そっくりだ。


姿形も。あの冷徹な瞳も。


なにもかもがそっくりだ。