返り血を浴び、なんの感情ももたない冷たい眼差しで倒れた浪士を見下ろす瞳。


その冷徹な姿から何故か目が離せない。


そして、脳裏に霞む遥か昔に見た光景と重なる。



あれは、何時だったろうか・・・




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あの日、幼かった私は母と一緒にどこかにいた。

何処だったのかは覚えていない。

ただ、母が優しく頭を撫でてくれてそれで・・・そのまま、寝てしまったんだ。


目が覚めて、そこが違う部屋だと気付いて母と一緒にいた部屋に向かったんだ。


そこで、何か争うような声がするのに気がついて首を傾げながら部屋の中を覗きこんだ。



『母様・・・?』


『離桜・・・っ
っ、離して!!』


中では母が男の人に腕を掴まれてそれを振り払おうともがいていた。



ザンッ


『・・・母様・・・?』


私が近寄るよりも早く、男は刀に手をかけた。


そして、そこには真っ赤な床に倒れ込む母と刀を握り締め倒れ行く母を見下ろす男の姿があった。



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あぁ、そうだ。
私の目の前で母は殺されたんだ。