「馬鹿か、お前は。女に切腹なんて、そこまでしねぇよ。」



「・・・ははっ」



それもそうか・・・


そのことに安堵している自分と、残念がっている自分がいて焦った。


「離桜、女としてのお前の幸せを願ってる。」


「土方さん・・・」


その言葉に、胸が締め付けられるようだった。


私の幸せはここ以外にはない。



これから私に待っているのは、地獄というなの鬼ごっこだ。
試練なんて、そんな生易しい言葉じゃない。

捕まって死ぬか、逃げて逃げてどこまで生きれるか。



けれど私はそのなかでも、決してみんなのことは忘れない。


忘れない。



「・・・どうか。御武運を。」


あなた方の未来に。


私が共にあることのできない未来に、たくさんの幸あらんことを。


そう願って、私は新撰組を脱退した。