誠の道ーキミと共にー


目の前には
細身だけど、逞しい背中。


その背中越しに掛けられる「加賀美、大丈夫か?」という声。


あぁ・・・

聞きたくてたまらなかった声だ。


あんなに避けていたのに
とても聞きたかった


---------------沖田さん




私がぼーっとしていると、
アブリエルは
沖田さんがわりこんできたときに
塀に登っていたらしく、
塀の上から私に向かって告げた



「やれやれ

邪魔が入ってしまったようですので
今日はこの辺で失礼するとしましょう。


けれど姫、必ずお迎えに参ります。


それまではもうしばらくのご辛抱を」




そう言って、アブリエルは闇に消えた。



アブリエルの気配が完全に無くなると沖田さんは刀を鞘にしまいながら振り返った



「大丈夫か?加賀美。」



呼び掛けられた声にびくりとしながらも沖田さんの胸に飛び込んだ。


「っ」



いきなりの体当たりによろめいた体を立て直しながら、頭上から息を呑む気配がした。