井戸に水を汲みにきた私は、
水を汲みあげて、ため息をついた




「はあ、流石に今のはやりすぎだよ・・・」




『今の』というのは、原田と沖田に鉢あ合わせしてしまった時のことである。




「・・・目が合って、すぐに逸らしちゃったし
 不自然すぎたよね」




よいしょっと
汲んだ水を樽に入れた。



その時、塀の上に誰かの気配がした。




「だれだ!」



ばっと振り返ると
そこには、優雅に足を組んだ男が座っていた。




男は、私が振り返ったことを確認すると
手に持っていた、湯呑・・・のような、
湯呑に取っ手のついた見たこともない茶器を
程よい大きさの皿の上に乗せて、私を見た




カチャリ




茶器を皿に乗せるわずかな音が聞こえた。





(なんだこの男・・・)