誠の道ーキミと共にー

しかし、浪士は川を渡っている際に目の前に坊やがいるのを見つける。



「つかまってたまるかよっ」



坊やを視界にとらえた瞬間、浪士は急いで川を渡り、走り出した。坊やめがけて。



人の執念は恐ろしい。



そんなことを遠巻きに見ていた。



璃桜は昨日とは打って変わって冷静にその風景を見ていた。



例え、その浪士が例によって坊やを人質に取ろうものでも。



「うわあっ!?」


抱え上げられた坊やは驚きで、目をいっぱいに見開いた。



その時、少し遅れで数人の追手も浪士にたどり着いた。



瞬間、自分の目を見開いた。


この感じ、昨日の気配と同じだ。


本能で「危険」だと知らせた気配。


「へへっ、どうだ、これでお前らも俺を捕まえられないだろ」



浪士は追手に向かってそう言った。




追手は浪士に向けて刀を抜く。



その光景を、目を細めて伺う。



気配だけであんなことを思わせた者がこの中にいる。



そう思うと、自然に、自分の興味以外、見えるものが白黒だった世界が色を帯びて輝きだす。