誠の道ーキミと共にー

璃桜はまた歩きだした。




「伝承とは、おとぎばなしのように
 人間が作った甘ったれた『願望』でしかないのに。」



それは小さすぎて松本には聞こえない。




「・・・私をそんな『善意の塊』のような目で見るのは、間違っている。
 私だけでなく、神全部か」




璃桜は嘲笑を顔に浮かべ、ある部屋に入った。




「・・・」




松本は、璃桜の言葉の意味を考えていたが
やがて歩きだした。



その歩き出した方向とは逆方向から
違う足音が二つ聞こえて
ある部屋のまえで止まった。



そして、襖を開けた。



部屋の中の空気が変わったのが、
廊を歩いていた
松本にも伝わった。



いや、伝わったのではなく
想像した。



今、あの部屋の中は
閑散とした、凍えた空気が占めているのだろう。


-----筆頭局長 芹沢鴨の登場で。




そして、彼は悠々と言ってのけるだろう。




「ふん。町民から忌み嫌われる存在のお前たちが
 まさか、敵一匹にこの体たらくとはな。
 
 -------早くも壊滅か?近藤よ」と。


かれなら言いかねない。彼の存在に気づきたくなくて松本は早々と屯所を出た。