誠の道ーキミと共にー

「・・・病は気から、とはよく言ったものです。




 あの爪には毒が塗られていた。
 



 それを聞いたら、隊士の精神状態が崩れます。
 それだけではありません。

 周りの者も『毒』の言葉に敏感になり
 隊士たちに近づかなくなるでしょう。



 ・・・それでは、隊士たちが不憫だ。



 たとえ、毒でも移ることはない。
 それなのに、疎外されてしまっても
 精神状態の悪化につながる。」



「それを避けるためにか」



「えぇ」



「・・・さすがだな。
 伝承にも残るはずだ。


 毒をも治療してしまうなど。
 『神』以外、おらぬな。」



璃桜の瞳には
暗い炎が揺れていた。

その奥にあるものが、
恐怖か、狂気か、はたまた無か。



「・・・あなたは何も分かっていない」



松本が璃桜の横を通り過ぎたあと。


お互い背中合わせの状態で璃桜は言った。





「最初、あなたの話を聞いたとき、
 私のことを深く知っているのかと思ったが、
 あなたが知っているのは伝承のみの神。


 伝承すべてが正しいとは、限らない。」