誠の道ーキミと共にー

なんて情けない・・・


そんなことを思いながら浪士二人の後ろ姿をみていると、背後から声をかけられた。



「さっきは、ありがとうございました。



 うち、明里言います。」



え??『あかり』??

・・・あれ?



「あの、さっき、ちよって・・・」


さっきと違くないですか??


私は目をぱちぱち瞬(しばた)かせた。



すると、女性は笑顔で答えた。



「ああ、さっきのは偽名どすね。
 本名知られてえも、困りますさかい」



それはもう、にっこりとした笑顔で。



うわー、
きれいな笑顔のはずなのに
『黒い何か』が見えるのはなぜだろうか・・・



「そ、そうですか・・・

 あははー・・・」





もう、苦笑いしかできない。




「それで、何かお礼をさせていただきたいんですけど・・・」



一瞬、お礼という言葉に反応したが、あの気配が近づいてきている。

激しく自分の中の警鐘が鳴り響いている。

今回は自分の本能に従うことにしよう




「すみません。急用がありますので」




私はいたって真面目に微笑みかけると、女性は一瞬、
ハッと息を呑んだ気がしたが、
私は挨拶をそこそこにその場を去った。



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