「………1回しか言わないからちゃんと聞きなさいよね!」
「おう!」
「そこの角を右に曲がって次の角を左に曲がって次の角を左に曲がって次の角を右に曲がって…………………………右に曲がったとこの如月って書いてある家!」
あたしはわざと、ややこしく言ったし、早口で言った。
んで、あたしはすぐに寝ちゃったみたい…。男の背中で…。
最悪~!
これが、あいつとの出会い…………
気づくとあたしは、自分のベッドの上で寝ていた。
周りをみるとお母さんがいた。寝てる…。
時計を見ると、夜中の12時だった…。お母さんが何の仕事をしているかは知らないけど、毎日朝早くから夜遅くまで頑張っている。そのうち倒れるんじゃないかな?
あ!起きた!
「結衣!起きてたの?みんな心配して下で待ってるから呼んで来るね?」
お母さんはそう言ってから、パタパタと階段を降りていった。
力が使えなくなった事…言うべきかな?
「結衣ちゃん!大丈夫!?」
そう言って入って来たのは、卯女ちゃん。
一番心配してくれる優しいおばあちゃん!
「大丈夫だよ!」
「そう?じゃあ、何か食べる?」
「何時だと思ってんの!?こんな時間に食べたら太るじゃん!」


