同時に、体全体が陰のように揺らぐ。 「なんだこれ・・・っ!」 左之は、幻覚だと思いたいのか、目をこすっている。 だがコレは。 ―――はらり 「ふぅん。やはり、そうだったか。」 不意に、少女の姿が消える。 まるで、風で散り行く桜のように。 後に残ったのは、白い花びらだった。 僕は、花びらを一つ摘んだ。 しかし、触れたそばから花びらは黒く変色し、塵となった。 「―――さて、帰ろうか。」 僕は、くるりと振り返り、左之の横を通り抜ける。