「・・・慎とは古い付き合いだといったな。」
斉藤は、僕の目を見ずに訊く。
「あぁ。斉藤が想像しているよりも、もっと古い。」
「そう・・・か。」
そう言って、斉藤は悲しげに笑った。
そんな斉藤が不思議で、僕は斉藤の目を覗きこむ。
「どうした?何かあったのか?」
斉藤は突然目の前にあった僕の顔に驚いたようだ。
「い・・・いや。ただ、志乃神が少し辛そうに見えたから、何かあれば話して欲しいと思って・・・。」
「・・・素直だな、斉藤は。」
僕はくるりと斉藤に背を向けると、店の戸を開ける。
「そうだな。僕の正体を当てたら、教えてあげるよ。」
そう言って、僕は店の外へ出た。
