「志乃神 命だ。・・・斉藤。悪い、少し席を外してくれないか?」
「?・・・解った。」
斉藤は少し不思議そうな顔をして、店から出て行った。
それを見送った後、僕はくるりと慎の方へ振り返る。
「ずいぶんと久しいな、慎。僕の事は覚えてるよね。」
「もちろんだ。・・・しかし、お前はこんな所、来ないと思ってたんだが?」
「・・・用事があってな。それよりも、お前は何をしている?このような店をもって。」
「俺はここら辺の土地神さ。ついでに情報屋みたいな事もしてる。対人外だけどな。」
道理で、腕がいいのにこんな所にあるわけだ。
「大方、お前の妖力を刀に分けて、情報の入りそうな奴に渡しているんだろう?」
「いや、刀に分けた俺の妖力はまだ不安定なんだ。
今のところ、渡しているのは斉藤だけだな。」
そう言いながら、慎は店の奥へと入っていく。
