『新撰組屯所』と言う看板が掛けられた門をくぐると、
僕は青年に引きずられるまま、部屋の一室につれてこられた。
「土方さん居ますかー!」
そう青年が叫ぶと、襖が開いて中から長い黒髪を高く結い上げた男が出てきた。
「総司!静かにしろと何度言ったら・・・ん?そいつは誰だ。」
「あ、そういえば、名前を聞いてませんでした。
なんてお名前ですか?」
青年がニコニコ笑いながら聞いてきた。
「・・・人に名を尋ねる前に自分が名乗ったらどうだ?」
僕がそう言うと、青年はぽかんとした顔をした後、お腹を抱えて笑い出した。
「あはははっ!君、面白いね。
僕は、沖田総司。
新撰組一番隊隊長だよ。」
「お前は?」
僕が黒髪の男の眼を見ると、男は眉間に皺を寄せながら言った。
「副長、土方歳三。」
僕は、その顔を見て、
「眉間に皺寄せすぎると、せっかくの色男が台無しだぞ?
笑っていた方が良い。」
と、注意してあげた。
