俺は、志乃神に向かって突きを繰り出した。


・・・はず、だった。


「土方さん、そっちに僕は居ませんよ。」


突然、後ろから志乃神の声がして、俺は反射的に飛び退いた。


すると、俺がさっきまで居た場所には、木刀を床に突き立てている志乃神が立っていた。


「・・・おい、お前どうやって・・・」


「土方さん、攻撃しないなら僕がしてしまいますよ?」


俺の後ろへ回ったんだ。と続けようとした声を掻き消すように、志乃神が切りかかってくる。


ちっ・・・速さで勝てないなら・・・。


「おらっ!」


俺は、木刀を受け止めると、そのまま押し込むようにして木刀に力を込める。


「もしかして、速さで勝てないなら力、とかって思ってます?」


「っ!?」


俺の心を見透かすように、志乃神の眼が俺の眼を真っ直ぐ見てくる。