“俺の女”






「あかりが、もうダメって言うんなら
仕方ないよな‥」





そう言って、あたしの手から
指輪とネックレスは離れた





これで終わった







あたしの中から






ヒロさんはいなくなった








「じゃあ‥帰るね」


「え? あぁ‥うん」




ここへ来ることはもうない



ヒロさんに会うことも





もう‥ないんだ







玄関の前に来た時
ふと目をやった場所




下駄箱の上に置いてある物





「これ‥」



あたしは思わず手に取った



「あ‥それは」



「まだ、あったんだね」


「‥うん」




少し頬が緩んでしまう




なんだろ…




これを見た瞬間に





気持ちがフア〜ってなって
自然に持っちゃってて






思い出した、出会ったばかりの思い出





あたしがヒロさんにプレゼントした




写真たて





その中には夜景の写真が。





夜景の写真は
初めて行った時、撮ったもので






ほんとに




始まりの思い出そのもの





それが、まだあったなんて‥