「返すか‥?普通」
「え‥」
「返される、こっちとしては
これってほど惨めなものは
ねぇな」
「そ、そんなつもりじゃ‥
あたしは、ただ」
「…‥はぁ」
ため息をついたヒロさん
これって、そんなにダメだったかな‥
「すごく嬉しかったし
指輪なんて毎日付けてて
お風呂も学校にも
付けて行ってたんだよ。
だから、いらなくなったとかじゃ
なくて、その‥関係が
また繋がってる様な感じが
するから‥その…」
あたし、何言ってるんだろ
なんで焦ってんの‥
ヒロさんが変にため息ついたり
するから
こんなヒロさんも初めてで
どう対応していいのか分からなくて
あぁ‥―
何考えてんのよ
下を向いたまま頭をかくヒロさんを前に
2つの物をまだ持ったままのあたしは
ゆっくりと差し出した
ヒロさんの目だけが動き
手が動きかけた時
静かにヒロさんは言った
「ほんとにダメか‥?」
すこしの沈黙の後
あたしは頷いた
ヒロさんは苦笑いして
差し出した物を受け取った

