“俺の女”







「あかり‥」




持ってきたバッグから
あたしは2つのものを取り出した






「これ‥あたしが持ってたら
なんだか、名残惜しいから」





そう言って
ヒロさんに渡した物は




初めてヒロさんに貰った
X'masプレゼントの指輪と



あの日にデートで
買ってくれた
一度も付けることのなかった
ネックレス





「なんだよ‥」


その物を見て
分からないフリをするヒロさん




ヒロさんがくれたんじゃん



見て、すぐ分かるでしょ‥?





包装もそのまま




指輪も箱に入れて
ラッピングも戻した






正直、辛かった





あの、東京から帰ってきてから
外した指輪も


ヒロさんが一生懸命に
選んでくれたネックレスも



みんな素敵な思い出で
あたしの宝物でもあったから





返すなんて、辛いよ






でも持っていたら




そっちの方が辛いの





思い出すたびに






何かと戦って




傷つきそうで…‥






自分で決めておきながら
弱い意思かもしれないけど




これは




確実な判断だと思う





ヒロさんとの思い出は





消してしまわないと




いつまで経っても進めないんだよ