「‥なんで‥?」
ヒロさんらしくない
か細い声があたしに届く
「‥ごめんなさい」
これしか言えなくて
泣きたくないのに
涙のせいで
"ごめんなさい"しか、でなくて
「‥他に好きなヤツできた?」
「違う‥」
「じゃあ‥なんで」
なんで、なんて
1年前の別れた時から
分かってるじゃない
連絡なくて
待ってなんてなかったけど
迎えも来なかった
理乃さんと幸せなんだろうと
完全に思ってたんだよ
"またな"
小さな約束も
所詮、約束でしかない
形ないもの
期待なんてなく
ヒロさんを好きな気持ちも
徐々になくなってきていた
ヒロさんの残した言葉が
あたしを震わせて
忘れたと
消えたんだと
ただの思い込みでしかなく
それに気付いた時
もう一度、会おうと決めた
礼の後押しだけど
確かに自分の意思も強かった
だから、言うね
ここに来た目的を。
最後の言葉を。
「ヒロさん‥さようなら」

