「ご家族の方ですよね?
磯山さん目を覚ましたそうですよ。
一緒に行きましょう」





と声を掛けてきたのは
さっき病室にいた看護婦さんだった




いそやま‥?



理乃さんか。




目を覚ましたんだ


麻酔が切れただけなのに
この看護婦さん
すごく微笑んで話し掛けて
きてくれる




事情を知っているから‥?




あたしが原因で自殺未遂


そうだとしたら
あたしが一番、不安なんだもんね



看護婦さんって
こういうスキンシップの
取り方まで上手なんだな





「そうですか。‥あたしは
もう少ししたら行きます。
ちょっと疲れたみたいで‥」





行きたくない




理乃さんが
何て言うのか怖い



あたしを恨む



それだけは
避けたいから




それに‥



ヒロさんに



まだ会いたくないよ‥―




「大丈夫ですか?
よかったら別室で
点滴を用意しますが‥」




ここは病院だった‥




仮病なんて言っても
バレるだけだよね




「いや大丈夫です。ここで
少し休んでから
すぐ行きますんで」




"分かりました"と
心配そうに言うと
理乃さんの病室の方へと
歩き出した