「あかり‥?」




優しく呼ぶのは止めて




「ヒロさんは今日
初めて分かったんじゃないよ。
前から分かってたでしょ?」




「‥え?俺はずっと
あかりしか見てなかったから‥」





また、それを言う




ヒロさん?


それはね‥あたしを
逃げ道にしていたんだよ





ヒロさんが理乃さんに
言った言葉



"俺はあかりだけだ"


"あかりしか好きじゃない"

"もう終わったんだ"




全部、隠そうとした気持ちだよ



ヒロさんらしくない
強がりが、あたしを
疑問へ導いた



嬉しい言葉のはずなのに
寂しくなっている自分がいた



理乃さんへぶつける
怒りがあたしには不思議と




理乃さんに対して"無理な愛"だと
主張しているようだった




だけど、あたしはヒロさんが好き


そんな簡単に後ろに下がることができず
あの時、理乃さんに言ったんだ





"あたしはヒロさんを


離したりしない"






ヒロさんを前にして
初めてあたしが





【最低な女】になった時だった