「いえ‥違います」


「そっか〜。
気になるよね?
こんなの身近で起きたら」


「はい‥」



つい嘘を言ってしまった


なんで言えないの‥



ヒロさんは理乃さんの
彼氏じゃなくて
あたしの彼氏だって



きっと自殺したのは
あたしが原因だって

色々トラブルがあったって


なんで言えなかったんだろ



「でもさぁ自殺するのって
勇気いるよね‥
よっぽど追い込まれてたんだよ」


「まぁね。何があったか
知らないけどさ
半端な気持ちでは無理だよね」




………‥。




あたしだって
感じなかったわけじゃない

理乃さんの苦しさを
無視していたんじゃないよ



ただ



追い込まれるほど
ヒロさんを愛していて
離される寂しさが
どんどん自分を見失っていた



この理乃さんの気持ちは
あたしには理解できなかったんだ




ヒロさんが愛がある




それだけの違いで
人はこんなにも
変わってしまうんだ




「もし助かっても
同じ繰り返しに
ならないといいけどね」


「彼氏がちゃんと
支えてあげないと
自殺っていう逃げ道が
癖になっちゃうよ‥」




何も言えず
あたしはその場から去り
病院にその足で向かう