修了式も終わり
春休みに入った



ヒロさんと会う日
あたしは
余裕なんてものはなく
やはり緊張してしまう




家まで迎えにきてくれて
軽く挨拶をし
助手席に座る



「なに?話があるんだろ?」


「うん‥。」



ゆっくりと進む車の中で
あたしはキスのことを
話した



「………」



黙るヒロさん


行き先もなく
ただブラブラ運転してる
その顔は柔らかかった



「もっと早く
言えばよかったんだけど‥」


「…だから?」


「え??」


だから?…とは?


ヒロさんの表情に
曇りがなかったから
怒ってはないと察知した



「だから‥
一応、黙ってちゃ
いけないと思って。
あと、あたしも
意思が固まってるし
今までとは違うから!!
恵太くんに向かうヒロさんを
見て、あたしもそれに
答える。
それが言いたかったの。」


「そっか。分かった」



見守るだけじゃ
やっぱりダメだよ


あたしは
ヒロさんと恵太くんに
答える立場


最悪な立場なはずなのに
なぜだろ‥



この難しくて深い愛情が
追い込まれるんじゃなくて
前に押してくれてるんだ





そういうことだよね?


ヒロさん。