ヒロさんが一歩前に
出て何かを言おうとした時
お母さんが飲み物を持って入ってきた





「あら‥
座ってください。」



「あ、はい。はじめまして。
僕、吉野ヒロといいます。
今日は急にお邪魔して
申し訳ありません。
え〜、あかりさんと
お付き合いをさせて
もらっている報告と
両親への挨拶に参りました。」






「吉野ヒロくんね。とりあえず
座ってください。」





「はい‥」






緊張しているせいか
ヒロさんは
動きも鈍くなっていた



あたしもヒロさんの横に座った





「昨日あかりから
紹介したい人がいると
聞いてびっくりしてね〜
君、職業は?」




静かな部屋で
コーヒーの大人っぼい匂いが
充満する中、父とヒロさんの
話が始まった



「建設業です。」



「あ〜そうかね!!
また大変な仕事だろ〜」




「いえ‥ もう長いので
大分 慣れてます。
今は現場を任されていまして‥」





ヒロさんの仕事のことは
最近まで知らなかった


あたしから聞くこともなく
ヒロさんから言われる
こともなくて‥



クリスマスデートの
一週間前ぐらいに
ヒロさんの仕事着を見て
知ったんだ




デートはほとんど
休日だったし
夜に会う時は仕事が
終わった後だったから
私服で綺麗なヒロさんしか
ほとんど知らない




あの一回だけ見れた
作業着姿でボロボロの
疲れているヒロさんは
今でも忘れられないほど
かっこよかった―