しばらく、いつもと同じ日常が繰り返されていた。


朝起きて、学校行って、帰りにはゲーセン寄って、一人でまどかを想って、タメ息ばっかりついて。




一ヶ月くらい経った頃だった。




今日も放課後になって、帰る支度をしているところだった。


ふと廊下を見ると、まどかの姿があった。あれ?珍しいな。神野より先に、まどかが待ってるなんて。


「上田く~ん!」


「何だよ、今日は早いな」


「……何その、鬱陶しそうな顔は?」


鬱陶しいなんて思ってないよ、切ないんだよ。


「いや、別に」


「あのさ、今日映画行かない?」


「映画?いきなり、何で?」


「観たい映画があるんだけどさ」


「じゃ、俺はいいから神野と二人で行ってこいよ」


「……」


何だよ、その沈黙は。


「それがさ、神野君誘ったら、『上田と三人で行こう』って言われて……」


「……アイツも、空気読まないヤツだな」


「ねぇ、行こ?」


「ヤダ」


「えぇ~何で?」


「だってキマズイだろ、そんなデートみたいな雰囲気のところに俺が居たら。いいじゃんか、二人で行ってこいよ。その方が良いだろ」


「えぇ~恥ずかしいもん!」


「恥ずかしがってる場合か!二人の方が、良い雰囲気になるかもしれんだろうが!」


「ねぇ、いいじゃん、いいじゃん、行こうよ!」


「お前がよくても、俺がキマズイの!」


ったく、ちょっとは俺の身にもなれっての。


何が悲しくて好きな人と親友が結ばれていくのを見てなきゃならんのだ。辛すぎるわ、ボケ。


「……」


何だ、また沈黙か。