「ちょっと、飲み物買ってくるわ。上田、何かいる?」


「いや、いい」


「あ、そ」


神野が席を立つのを見計らって、まどかが寄ってきた。


「わーい、上田君!今度は私が相手だ!」


「お前、バレかけてるぞ」


「何が?」


「お前の気持ちだ」


「えっ、マジ?」


「マジだ」


「えぇ~嘘!うわ~恥ずかしい……」


「……で、実際どうなの?」


「どうって?」


「お前、神野に猛アタックしてるらしいじゃん」


「も~、神野君おしゃべりだな~」


「神野の反応は?脈アリか?」


「さあ……」


「さあって、お前―」


「上田君、ありがとね。神野君のコトになると、いつも親身になって聞いてくれて、応援だってしてくれて」


「え?どうしたんだよ、急に」


「上田君のそういう優しいトコ、私、好きだよ」


ドキッ。


「な、何だよ、突然」


「でもね、そんな優しさが傷つく場合だって、あるんだよ」


……え?


「どういうコト?」


「あ、神野君帰ってきた。はい、この話はおしまい!私は先に撤退します!」


「えっ、おい、待てよ!」


「上田、お待たせ。あれっ、まどかどうした? 走ってったけど」


「さあ……何か先に帰った」


「あ、そ。じゃ、俺らもそろそろ帰るか?」


「そうだな……」


なるほど……もしかすると、上手くいってないんだな。


多分、神野にはその気が無い。だから、背中を押されても困るってコトか。


何か……複雑な気分だな。悲しい反面、嬉しい部分もあって。


あーあ。一体俺はどうしたいんだよ。


「それにしても……もうすぐだな、卒業」


おっ。珍しく神野がしんみりとしてる。やっぱり、一人で海外ってなると、さすがの神野でも不安か。




卒業……か。




やっぱ、ずっと一緒に居たいな、このメンバーと。でも、そんなわけにもいかなくて。