「な?わかんねぇんだよ、考えたって、人の気持ちなんか。だから、実際に聞くんだろ?それが、告白だろ?」


「う、うん……でも……」


「お前さ、このレース始める前、俺に何て言った?」


「え?始める前……?」


「やってみなくちゃわかんない」


「あ……」


「お前な。ビビり過ぎ。確かに、フられたら悲しいよ?でもさ、あと一年経ってみろ。何であのとき告白しなかったんだろって思うよ。その後悔の方が、ずっと大きいんだよ」


……確かに俺は、ただビビって、自分なりに告白しないように理由をつけて、逃げてるだけだったかもしれない。


「行けよ。こんなとこでバカみたいにゲームやってる場合じゃねぇだろ」


「ありがとう。行ってくる!」


「待て。それともう一つ」


「何だよ?」


「俺ともお別れなんだからさ、もうちょっとお別れっぽく懐かしい話とかしようよ?」


「ハハハ。また、後でな!」


ありがとう、神野。


……そうだな。確かに、成功する確率は、低い状況なのかもしれない。


でも、やってみなくちゃわかんないよな。


最後もビビり続けて、後悔なんてしたくないから。




俺は走って校舎を目指した。




中に入ると、居るかもわからないまどかを必死に探した。


「……上田君?」


「まどか!」


「どしたの、息切らせて?」




良かった。




最後に気持ちだけでも、伝えるコトができて。


「俺、お前のコトが、好きだ」


「えっ……」


まどかはそっと俯くと、唇だけを優しく微笑ませた。




THE END