結局何も変わらないまま、ついに、卒業式の日が来てしまった。


式が終わると体育館付近には、大勢の生徒が輪を作って群がっている。


笑い合ってるヤツもいれば、泣きながら握手してるヤツもいる。みんな、様々な想いがあるんだろうな。


「あ~上田君、どこに居たの~探したよ?」


……まどか。


「おっ、第2ボタン余ってるじゃん。寂しいなぁ、私がもらってあげよっか?」


「何、古臭いコト言ってんだ」


「いいじゃん、ちょうだい?」


「ヤダよ、神野にもらえ」


「えぇ~何で?」


「お前な。俺みたいな凡人が第2ボタン無くなってたら、クラス帰って爆笑されるわ、バカ」


「別にいいじゃん、最後くらい」


「だいたいお前、こんなトコで油売ってて、何やってんだ。俺は良いから、早く神野のところに行けよ」


「……」


だから、その沈黙は何だっつーの。


「……おい、まどか?」


「神野、神野ってさ。何で上田君は、そんなに私と神野君をくっつけたいの?」


ドクン。


「えっ……」


「どうして?」


「それは……お前が―」


言っても良いんじゃないのか、もう最後なんだし。


好きだったからって。


気持ちがバレるのが恥ずかしいから、逆に応援しちゃったって。


「何?」


……言えないよ、今さら。