「上田君も、その女の子に、ちゃんと気持ち、伝えるんだよ!」


妄想とは違い過ぎる程の現実的な言葉に、俺は小さく微笑むコトしかできなかった。


再びまどかに背を向けたとき、表情が消えたのが、自分でもわかった。


「……ああ」


その女の子って言うのは……お前なんだよ、まどか。


何だか、泣けてくる。俺は一体、どうすりゃ良いの?


そりゃ確かに、告白はタダかもしれないよ?でもな、フラれたら、傷つくんだよ。


フラれるってわかってるのに、気持ち伝えるバカがどこに居るんだよ。


まどかの恋は実る可能性ある。だって、神野が実際どうだか、わかんねぇんだもん。


だけど俺の場合は、0%だよ。どうしようもないじゃん。




諦めよう。




卒業までに諦められるように、頑張ろう。


神野に、そしてまどかに、笑ってサヨナラするんだ。




それからは、できる限りまどかと一緒に過ごす時間を減らした。一人で居るときも、極力考えないように頑張った。