「さっきから何の話だ。だいたい、約束があるならお前なんかとこうしてゲーセンなんか向かわねぇっつーの」


「お前なんかとは、何様だ」


「俺様だ」


「……」


「……え、放置?お前今日、ホント突っ込まないね」


アレ?どうなってんの?まどか、確かに神野を誘ったって言ったよな。


あ、そうか。俺を誘ってから神野を誘おうとしてたのか。だよな。何、ちょっとテンション上がってんだ、俺は。


……いや、違うな。もしそうなら、『誘ってみたら、三人で行こうって言われた』ってのは何だ。


まどかは、俺と二人で行こうとしてたのか?何のために?


「お~い、上田!」


「な、何だよ」


「どうしたんだよ、さっきからずっと考えこんじゃって」


「いや、別に……」


「悩み事だったら言えよ」


「だから、別に何でもないって」


「何だよ、親友の俺にも言えないのか?」


「……お前ね、よくそんなコト恥ずかしがらずに言えるよな」


「何が?俺たち、親友だろ?」


「そ、そうだけどさ……」




親友……か。




「そうだな。親友だからこそ、言えないコトだってあるんだよ」


「へ?何、急に、真顔で」


「じゃあな。また、明日」


「おい、上田!待てって、ゲーセンどうすんだよ!」


お前にだけは、俺の気持ちは言えないよ。


だって、多分お前は、俺に譲ろうとするだろ?


もしもまどかに告白されても、こんな俺なんかのためにフるだろ?


そんなコトしたら、まどかに合わせる顔がねぇよ。


かと言って、神野に全部打ち明けた上で、「俺のコトは良いから告白されたらOKしろ」なんて言えない。


俺にそんな度胸は無いし、何より、神野自身がまどかをどう思ってるかわからない。


俺の気持ちを知ってしまうと、仮に神野がまどかを好きだったとしても、俺には「元々興味ねぇ」って言って譲ってくるに決まってる。アイツはそういうヤツだ。


だからこそ、絶対言えない。