涼風や木陰を欲する心持ちがかすかに動き始めるこの季節。

高校に入って初めての初夏。




「あ」


「は」





校舎裏にある少し古びた非常階段。


見晴らしのいい非常階段でコンビニによく売っている三本入りのみたらし団子を食べるのがあたしの日常で。

そして今日も三本入りのみたらし団子を口の中へと運んで、広がる家々の情景を眺めていた。




異世界を感じさせる物静かな場所。




…それが、




青年との出会いだった。