「……が…です!………なんと……!!!」


「………!!…で…なら……」


遠くでマイクを通した誰かの声が聞こえる。

それと同時にあがる歓声。




ここは…どこ?




頭がボーッとして何も考えられない。

体が異常に重い。

まるで体全体に鉛が入ってるみたい。


まだ働きたくないという脳をたたき起こして、ゆっくりと目を開ける。


だんだんうっすらと光が見えてきて、

それになんとなくぼんやりと色付いて。


それが徐々に形を表して、はっきりとしていく。


「ここ……ステージ裏?」


体育館のステージ裏みたいに、

なんだか色々置いてあってごちゃごちゃしてる。


辺りを見回していると、カーテンの奥のほうで光がチカチカと見えた。


何の光なのか目を凝らして見るけど、

あまり目がよくない私には分からない。


あ、近づけばいいんだ!


手を打って、それに近づこうとすると。


ゴンッ


「っっ!!!?」


何か固いものが額に当たった。


「いったー…この辺に何か……」


額を押さえながら、前に手を伸ばす。

すると、壁みたいなのにぶつかった。


「なに、これ……」


壁っていっても透明で、見た目だけじゃ分からない。

けど確かにそこにある。


コンコンと叩くと、それがよく分かった。


とりあえず、手当たり次第に周りを触ってたけど

それは私の周りにあるみたいで、出られそうはなかった。




「一体何なのよ……」


落胆の息をついて、その場に座り込む。

ふ、と自分が着ている服が、最初と違うことに気づいた。


最初はロングTシャツにショーパンだったのに。

今はフリフリのお姫様みたいなドレスに、頭には大きなリボンがあった。


はっきりいって恥ずかしい……。


「はあ………」


また大きなため息をつくと、誰かの足音が聞こえてきた。

じっと耳をすます。


だんだん大きくなるってことは、私のほうに来るんだろう。