「詩織、遅いな」
「そう、ですね…。何かあったんじゃ………」
“何か”
その言葉に反応して思わず章を見る。
やっぱり止めておけば良かったか…
何かあってからじゃ遅い。
章に目配せをして
家に乗り込もうと一歩踏み出した時。
「離して!!中に子供がいるのよ!!」
悲鳴に近い女性の叫び声が住宅街に響いた。
「なんだ?」
「火事ですね。向こうに煙が上がっていますから」
「火事?」
眉をひそめて章の指指すほうを見れば、
数メートル先の家から黒い煙がもくもくと上がっていて
その側で暴れる女を男が押さえつけていた。
おそらく女は火事になった家の住民だろう。
「晴輝っ!!離してよ!晴輝ーっ!!!」
女の人はそのまま地面に泣き崩れてしまった。
「……子供が取り残されているようですね」
「章…あと頼むぜ?」
「任せてください」
オレは章に一言告げると火事の家に走った。
近くで見ると結構火がまわっているようだった。
にも関わらず、警察はいるのに救急車と消防車がきてない。
あるのは水が入ったいくつかのバケツだけ…。
オレは泣き崩れる女に、なるべく優しく声をかけた。
「そんなに泣くなよ、大丈夫。オレが連れてきてやるよ。」
「子供はどこにいる?」
彼女ははっとしたようにオレを見ると、オレの服を掴んだ。
「2階の…子供部屋に…っ。布団で寝ていて……それで火事になって………」
「子供部屋だな」
オレは掴まれた手をやんわりと外すと、バケツの水を頭からかける。
これでなかなか服に火がつかないだろう。
震える彼女に微笑むと、迷わず玄関に走った。
だいぶ中も崩れてきている。
さっさと出ないとヤバいな……。
そんなことを考えて階段を登ると、
“HARUKI”と書かれたプレートがかかったドアを見つけた。
「っ……ここか」
「そう、ですね…。何かあったんじゃ………」
“何か”
その言葉に反応して思わず章を見る。
やっぱり止めておけば良かったか…
何かあってからじゃ遅い。
章に目配せをして
家に乗り込もうと一歩踏み出した時。
「離して!!中に子供がいるのよ!!」
悲鳴に近い女性の叫び声が住宅街に響いた。
「なんだ?」
「火事ですね。向こうに煙が上がっていますから」
「火事?」
眉をひそめて章の指指すほうを見れば、
数メートル先の家から黒い煙がもくもくと上がっていて
その側で暴れる女を男が押さえつけていた。
おそらく女は火事になった家の住民だろう。
「晴輝っ!!離してよ!晴輝ーっ!!!」
女の人はそのまま地面に泣き崩れてしまった。
「……子供が取り残されているようですね」
「章…あと頼むぜ?」
「任せてください」
オレは章に一言告げると火事の家に走った。
近くで見ると結構火がまわっているようだった。
にも関わらず、警察はいるのに救急車と消防車がきてない。
あるのは水が入ったいくつかのバケツだけ…。
オレは泣き崩れる女に、なるべく優しく声をかけた。
「そんなに泣くなよ、大丈夫。オレが連れてきてやるよ。」
「子供はどこにいる?」
彼女ははっとしたようにオレを見ると、オレの服を掴んだ。
「2階の…子供部屋に…っ。布団で寝ていて……それで火事になって………」
「子供部屋だな」
オレは掴まれた手をやんわりと外すと、バケツの水を頭からかける。
これでなかなか服に火がつかないだろう。
震える彼女に微笑むと、迷わず玄関に走った。
だいぶ中も崩れてきている。
さっさと出ないとヤバいな……。
そんなことを考えて階段を登ると、
“HARUKI”と書かれたプレートがかかったドアを見つけた。
「っ……ここか」


