キオクノカケラ

…何がしたいの、この子…


軽く息をついて、訝しげに女の子を見つめると、

視線に気づいたのかこちらを向いた。

そして一言。


「みないでよオバタン」


「オバタン~?」


その言葉を聞いて笑顔がひきつる。


さっきの男の子といい、この子といい

何なの?!


子供…

子供の言うことだから…

怒っちゃだめ

我慢…我慢…


そう自分に言い聞かせて、上を向き、大きく息を吸う。

そしてゆっくりとはいた。


心を落ち着かせて、女の子のいるところを見ると


「あれ?」


いない…


さっきまで私の前にいた女の子は、


「おばあたんっ!ひかる!」


「桜っ!おれのことはお兄ちゃんって呼べよ」


「あら、桜までお出迎え?嬉しいわ」


いつの間に移動したのか、女の子は叔母さんと男の子のところにいた。


話を聞く分には、

男の子は輝くん

女の子は桜ちゃんというらしく、

ふたりは兄妹らしい。

3人を見ていると、叔母さんと目が合った。

途端に心底嫌な顔をされる。

さっきまでの笑みは嘘だったかのように。


「何見てんのよ。さっさと入りなさいよ」


顎でドアのほうを示すと、睨まれた。

私も若干睨むと、仕方なく家に入った。

私が背を向けた瞬間、


「ちっ…可愛くない娘」


と呟いたのが聞こえた気がした。