キオクノカケラ

おばあちゃん…?


叔母さんが?


……………


おばあちゃんー?!!


私がぽかんとした顔をしていると、向こうの会話が聞こえてくる。


「あら、輝(ひかる)わざわざお出迎え?」


「うん!くるまの音がしたからね、来たのっ♪」


さっきとはうって変わって優しい声の叔母さんに

にこやかな可愛らしい笑顔の男の子。


私への態度はなんだったの?!

下唇を噛み締めて家に入ろうと踵を返す。

すると家の中から何かが飛んできて、私の額に命中した。


さっきぶつかったところに固いものがまたぶつかった。


「いっ………たあ………っ」


額に跳ね返って落ちた物は、コロコロと転がって、

やがて私の足下で止まった。

ドアよりは痛くないので片手で額を押さえ、それを拾う。


小さな球で透明に近い色のガラス玉。

ビー玉だ。


なんで家の中からビー玉が飛んでくるの?!


不審に思って恐る恐る家の中を覗くと、小さな女の子が走ってきた。


「おねえたん。それあたちの、返ちて」


私の手にもっているビー玉を指しながら、小さな手を差し出してくる。


「あ、ああ…これね。はい」


優しく微笑んで渡してあげると、それをまた家の中に投げた。