虹色列車

秋叶編



髪が宙を泳いだ。



誰かがきっと目を見開いてる。
誰かは叫んだだろう。
誰かは泣いただろう。
誰かは心の底から喜んだことだろう。

髪の毛の束の中で彼女が何を言っていたか私は知っている。

「あはは。こんなものか、こんなものなのか私がいる世界というやつは」

目がチカチカするような赤に彼女が埋もれた。



「あの子。笑ってたわ」

隣にいた人が無心なのか泣きながらそう呟いていた


私は…………



泣いてた?
怒ってた?
笑ってた?
喜んでた?
悲しんでた?

ははは
どれだろうね。

私にもわかんないや




でもこの瞬間の何とも言えない感覚にずっと溺れていたいと思った。