「誰にやられた」

「…」

「言え」

「…男子の、集団です」

「名前は」

「…」


彼女の足のことに触れることはしなかった
いや、出来なかった

「…チッ、んどくせぇ」

「わ、」

足にジャージを被せ、見えないようにしてから
びしょびしょの彼女を背負って保健室へダッシュした

「つめて」

「離して、ください!
離し…」

「かっる
ちゃんと食ってんのかよ、ガリ」


脱力したかのように傷ついた表情をした彼女
うし、黙った


『ねぇ、あれ見て』

『え、あれ高橋さんと…』


その雑音にイラッとしたので、横にあったゴミ箱を蹴り飛ばした

『きゃああっ』


「ちょ、やめて下さい!
危ないですよ」

「落とすぞ」

「むしろ、落としていただいたほうが幸せです」



そのとき、彼女の顔が一瞬
明るくなったのだ