・・・あまり、気にはしてなかったが。

夏でも長ズボンはいてて、そして一度も体育の授業に参加しない
やっぱり分からない

はぁ、とため息をついて思い切り頭にボールがぶつかる
漫画かよ

と軽いツッコミを心で出してから、今までで一番楽しくない体育の授業が終わった

「どうしたんだよ、お前体育だけは楽しいって言ってたじゃんか」

笹原が心配そうな目でこちらを見つめる

「キモい、ほっとけ」
「そう!、それでこそお前!」
「滅びろ」
「こらぁ、ママに反抗しちゃいけません!」
「お前男だろ、ほんとキモい」

笹原はニッと俺の顔の前にピースサインを送る
・・・こいつは

「お前ほんとお気楽だよな」
「最高の褒め言葉ありがとう」
「そしてうざい」


その時


『いやあああっ』


かすかに悲鳴がした


「・・・なんか悲鳴しなかったか?」
「え、してないよ」

助けて
そう俺には聞こえた

「ちょ、ドコいくの!」
「先行ってて」






悲鳴が聞こえた方向にひたすら走った

「・・・クソ」

なんで
なんで俺走ってんだ