せっかく心配してやったのに

まぁ、いつも授業もまともに受けない不良と話すのは怖いよな
・・・なんて考えながら再び寝転んだ

俺が受ける授業は、体育だけ
頭使ってシャーぺンを動かすのは苦手なんだ
ただ授業を受けたくない言い訳をきれいに考えながらアホらしくなった


5限目が終わるチャイムがなり、次の授業は体育なので教室にジャージを取りに戻った

「・・高橋」

いつもは誰もいない教室にただ一人
彼女だけが残っていた

みんなは5限目からグラウンドへ向かっているから、誰もいないはずなのに

「ご、ごめんなさ――っ」
「なんで、長ズボンはいてんの
今日半袖だろ?」
「・・・」

高橋は震えながら

「ごめんなさい」

と謝るだけだった

・・・あー、うぜ

「謝ることしかできないのかよ
質問に答えろよ、さっきからお前――」

「き、汚いから!」

「・・・は」

「私は汚いから、皆と同じ格好しちゃ、だめなんです・・っ」

力を振り絞っていう高橋
意味がわからない

汚い?
なんだそれ、何が汚いんだ


やはりこいつは、理解不能だ

いつも気になっていた
なんでいつも長ズボン履いてるんだ


綺麗に巻かれた金色のカールが、風でなびく
それと同じ方向に、彼女のごめんなさいが飛んでいった