その後はギリギリで1位ゴールだった。 たくさんの歓声を浴びて、ちょっとうれし恥ずかしだった。 「ただいまー!」 自分クラスのテントに帰ると、空気が少し重かった。 皆は苦笑いしていて…。 怒っているのは、翔さんだろう。 「…降りるなって言ったよな…」 聞いたこともない、翔さんの冷たい声。 覚悟はしておいたけど、やっぱり怖い。 翔さんはゆっくり近づいてきて…バッと手を振り上げた。 叩かれるっ! そう思ったけど、手はおりてこないで、かわりに翔さんの優しい匂いがした。