お嬢様の世界。

そんなに大変な事なのだろうか。

何不自由ない生活の中の孤独。
好きでもない人との政略結婚。

確かに大変かもしれない。
でも、所詮はその程度なのだろう。

「お嬢様の世界を甘く見ちゃダメだよ」

真千ちゃんは、私の考えを読み取ったのか、真剣な表情で言葉を続ける。

「社交界、跡取り修行、表の自分も作らなきゃいけない。

最近は学校に来る時間が勿体ないと思うくらい忙しい。

…見た目以上に大変なのよ」

それを聞いて、気が沈む。
真千ちゃんの言葉からは、つらさや苦しさが感じられた。


本当に、大変なんだ…。
多分胡桃澤財閥に戻るのは必須なのだろう。

学校も辞めて、翔さんとも離ればなれ…。

そんな未来が容易に想像できた。