「誰も来ないからこそ、植物たちは輝けるんじゃよ」 そう、言っていたのを覚えている。 「で、一体全体どうしたのさ?」 「あ、うん。 私、胡桃澤財閥のお嬢様だったみたい」 「…─」 1、2、3…─。 無意識に沈黙している時間を数えてしまう。 変なくせだ。 たっぷり40秒数えたとき、 「へー…そうなんだー」 とにっこり笑う真千ちゃんと目が合った。 なんだ、意外と普通じゃないか。 …ん? 普通じゃない!? 目の焦点が合ってない!