王子の魂 ―ワタシの想い―

私の母は、まだ私が小さい頃、父に逃げられた。

父は私に

「遠いところへ旅へ行く。カッコいいだろ?」

そう笑っていた。
小さかった私はあまり深く考えず、単純に「カッコいいな」と思っていた。

母は父がいなくなってからだんだん壊れていった。
私が小さかった頃はまだ我慢していたようだが、私がある程度成長し、中学生になるといろいろ私にぶつけ始めた。

「なんで辛い思いをしなくちゃいけないの?」
「無償の愛なんてないから。」
「あんたなんか生まなきゃよかった。」
「もう人生を終わりにしたい。」

いろんな言葉を思い思いに私にぶつけた。
母はこの頃から心の病気だったのだ。

私の成績は一向にのびず、友達関係も上手くいかず、私の心まで壊れていった。

死にたい・・・。
何度もそう思った。でも、刃物を手首にあてるとその冷たさに怖くなり、死ぬことはできなかった。

そんな時・・・

リュウに出会った。

なるべく家にいたくなかった私は近くの本屋に行った。
何気なく手にとったアイドル誌に、リュウが載っていた。
まだ、「CROWN」としてデビューしたてのリュウ。ページは3人で2ページ。白黒印刷だったけど、確実に私の心は奪われた。
その日から私はリュウのファンになった。

それからは
辛くて、泣きたくなってもリュウの笑顔を見れば元気になれた。
CROWNが有名になったら、同じファンの友達もできた。

毎日がガラリと変わった。

しばらくして、母が入院した。半年後帰ってきた母はすっかり元気になっていた。

それから、私は「死にたい」なんて思わなくなった。
リュウのおかげ。辛いことがあってもリュウを見れば全部忘れられた。

「死にたい」って思ったリュウの気持ちも分かる。
手に取るように分かる。

でも・・・

リュウのおかげで私は今生きている・・・。
リュウが助けてくれたから・・・。

だから

リュウも・・・


明るく生きていってほしいよ――――――――。