王子の魂 ―ワタシの想い―

その日の放課後。

私がいつものように家に帰ると、いつもの出迎えがなかった。

「おかえり」

リュウのいつものあの声がなかった。

変な違和感を感じながら私は部屋に向かった。

部屋ではリュウが隅の方でうずくまっていた。
頭を垂らし、明らかに暗いオーラを放っている。

「リュウ?どうしたの・・・?」
「・・・いや、なんでもねえ。」

リュウは起き上がり、私に笑いかけた。
でも、目は笑っていない。無理して笑っている。

何かあったのだろうか・・・?

気になりながらも、私が上着を脱いでいるとリュウが

「テレビつけて」

と言った。
私は黙ってテレビのスイッチを押す。
今はリュウのこの指令にすっかり慣れてしまっていた。

私は上着をハンガーに掛け、円いテーブルの前に座った。

「なんかいいのないかな~・・・」

私はリモコンでチャンネルを次々と回した。

「おい、勝手に変えるなよ。」
「この時間、どの番組も一緒だよ。」

私は一通りチャンネルを回すと一端手を止めた。
夕方のこの時間帯はみんな同じようなニュースしかやっていない。

そのとき

<<先程、先日から意識不明で入院している人気アイドルグループ「CROWN」のメンバー龍さんの・・・>>

とテレビからアナウンサーの声が流れた。私はいつものニュースかと思い、聞き流そうとしていたが、今日のニュースは違った。

<<意識不明の原因が発表されました。>>

「え!?」

私はテレビの前に駆け寄り、張り付いた。
リュウは黙って下を向いていた。