王子の魂 ―ワタシの想い―

初めてだった・・・。

今まで雅紀は

優しくしてくれて
私のことを想ってくれていた。

私も精一杯、雅紀のことを好きになった。

でも・・・、いざキスされると・・・

怖かった・・・。

雅紀があんな風に見えたのは初めてだった。


結局、私は雅紀のことを「本当に」好きではなかったのだ・・・。

「本当」
「本当に」好きって何?


私の頬を水滴がつたる。
闇は空をすっかり飲み込んでしまっている。

私は唇をこすった。
ヒリヒリして痛かったが、何度も何度もこすった。

・・・でも、雅紀のあの感触は消えない。


私は何も考えないようにして家まで走った。