王子の魂 ―ワタシの想い―

雅紀は家のドアを鍵で開けると私を招き入れた。

「親いないから。」

雅紀はそう一言だけ言うと私の前に立って歩いた。
私は黙って雅紀に着いていった。

「その辺に座って。」

雅紀は部屋に入るとまずそう言った。
私は部屋の隅のベッドの端に座った。ベッドの上なんて少し抵抗があったが、雅紀の部屋に座る場所なんてベッドぐらいしかなかった。

雅紀は一端部屋を出て行き、お菓子と飲み物を持って戻ってきた。
雅紀は部屋のテレビをつけた。

＜＜先日、大人気グループ「CROWN」のメンバー･･･＞＞

テレビでは聞きなれたニュースがやっていた。

ふと、雅紀が重たい声で言った。

「優子はリュウのこと好きなんだよね？」

普段なら「うん」と即答するのだが、今は何か違う気がした。
私は何て答えればいいのか分からなくなり、黙り込んでいた。

「･･･俺よりも？」

雅紀が言う。

「俺は優子が一番好きだよ･･･。」