王子の魂 ―ワタシの想い―

その日の放課後、私は久しぶりに雅紀が部活を終えるのを待っていた。

「ごめん!待った?」

玄関で待っていた私に雅紀は駆け寄る。

「大丈夫だよ。」

私は雅紀に笑いかける。

私たちは学校を出た。

「こうやって帰るのもなんか久しぶりだな。」
「そ、そう?何日かだけじゃない?一緒に帰ってないの。」
「そっか・・・。」

雅紀は空を見上げた。
私もつられて見上げる。

薄暗い空は夜を抱き、明るい空を飲み込もうとしていた。

雅紀が再び話し出した。

「優子って本当にリュウが好きなんだね。」
「え?うん・・・。」

雅紀は私の手持ちカバンに付いている「CROWN」のストラップを見ていた。
ストラップは歩く振動によってユラユラと揺れていた。

「あのさ・・・」

急に、雅紀が立ち止まった。

「何?」
「今日、このまま俺ん家来ない?」

「え・・・?」

私は一瞬迷ったが小さく頷いた。頷かなければならない気がしたのだ。

雅紀はそんな私を見ると微笑み、私の手を握った。