「あ~。ちょっと休憩。」
琴美が大きなあくびをし、リモコンの一時停止ボタンを押した。
「飲み物でも取ってこようか?」
「いや、いいよ。私持ってきてるし。」
琴美がそう言うと、菜子も一緒にバックの中からジュースを取り出した。
それを見たリュウが言った。
「あー!俺もそのジュース飲みてえ!」
私はただ黙ってリュウの方を見た。
リュウは私の隣で、足をドタバタさせて嘆いていた。
そのとき、
「あ、これ。」
と琴美が言った。
琴美の視線の先には壁にピンで留めてあるウサギのバックチャーム。
「中学の時カバンに付けてたやつでしょ?」
「そうだよ。」
私は立ち上がり、壁に留めてあるバックチャームを眺める。
そう、これは私が中学生の時カバンに付けてた物。
なつかしいな~・・・。
私はリュウの方をチラッと見た。
すると、リュウはなぜかバックチャームをかなり真剣な目で見つめていた。
その目はなんだか、記憶の奥底を懸命に探っているような・・・
大事なものを探すような・・・
まっすぐな目だった。
私はそのリュウの目を2人が帰ってからも、忘れることができなかった・・・。
